殆どの人はノンバンクと聞いても何を指しているのか良く分らないと思います。少し知っている人の場合には、消費者金融を思い浮かべるかもしれません。正確に言えば消費者金融もノンバンクの一つということができます。
また消費者金融という言葉もよく知られていますが、多くの場合には大手消費者金融だけを指しているように考えがちですが、実は街中にある中小の金融業者である街金を含めて消費者金融なのです。
ただし街金のような金融業者には、正規の業者の他にも法令に従わない非正規業者である闇金が多数あるため、街金を利用する場合には良く調べたうえで、闇金ではないことを確かめなければなりません。
ノンバンクって何?銀行との違いを理解する
ノンバンクと言うのは金融機関には違いはないが、意味は知らないという人に、簡単に説明するとすれば、預金を扱わない金融機関と言えばイメージがわくと思います。
またもう一つ理解しておきたいのは、適用される法律が違うという点も見逃せません。金融機関にはそれぞれ適用になる法律が有って、銀行とノンバンクではこれがそれぞれ違っていて商売のやり方にも影響しています。
このノンバンクと銀行を比較した場合、ノンバンクのほうが審査が甘いため多くの人が利用出来る可能性が有る反面、銀行のほうが金利が低くお得な利用ができるということになります。
ノンバンクには預金が無い
銀行(バンク)とノンバンクの大きな違いは預金の有無です。銀行あるいは信用金庫などの業務は基本的には預金者からお金を預かって、それをお金が必要な人に貸して利息の差分を利益にすることです。
これに対してノンバンクというのはお金を貸すと言ところは同じですが、その元手になるお金は預金ではなく、銀行などからの借入で行います。
したがってノンバンクはいわゆる貸金業者が該当し消費者金融やクレジットカード会社ということになります。
このためノンバンクが利益を上げるためには、銀行の貸出金利よりも高い金利でお金を貸し、利息の差額で利益を出すことになります。
適用される法律が違う
もう一つの大きな違いは適用される法律が違うということです。銀行と消費者金融を例に適用される法律を次に示します。
金融機関 | 適用される法律 |
---|---|
銀行 | 銀行法 |
消費者金融 | 貸金業法 |
この意味は金融機関にとっては非常に大きなものが有ります。例えば貸金業法には総量規制が有り、融資できるのは基本的には年収の3分の1までと規定されています。
したがって消費者金融では収入が融資の前提になります。
しかし銀行法にはこうした規定はありません。したがって銀行がお金を貸す場合には、法律的に言えば収入が無かったとしても融資ができます。
もちろん実際には銀行の規定で収入を前提にしますが、他にも貸金業法にはいろいろと規制事項があるため、消費者金融は銀行に比べて商売がしにくいと言われています。
現在の消費者金融は元を正せば昔のサラリーマン金融です。サラリーマン金融は当初担保も保証人も無しで融資していたので大変歓迎されたのですが、金利が今の様に抑えられていたわけではなかったため、すぐに返済に行き詰る人が現れました。
サラリーマン金融はこういう人に対して過酷な取り立てをして一家心中に追い詰めることも有り社会問題化したため、これを取り締まる為にできたのが貸金業法です。つまり貸金業法は当初から取り締まりを目的にした法律でした。
その後も様々な問題が有ったため、改定を繰り返して、それらについて徐々に規制の枠に嵌めていくといった経緯をたどり現在に至っています。
現在の貸金業法では、総量規制で融資できる範囲が狭まってしまい、かつ上限金利もグレーゾーン金利を無くして低い設定にしたため、収入減はもとより、これまでに取り過ぎていた利息を過払金として返還しなければならなくなりました。
これによって消費者金融の経営体力は著しく削られ、殆どの業者の経営が傾く原因になったのです。
一般にノンバンクのほうが審査は甘いが金利は高い
利用者から考えれば銀行でもノンバンクでも必要なお金が借りられるかどうかが重要な点ですが、その点から考えれば審査の難易度が大変重要な意味を持ちます。
それともう一つ気にかかるのが利息で、できるだけ利息が安いほうが有利と考えます。
これ等の点を消費者向けのカードローンを例に銀行とノンバンクを比較してみましょう。
金融機関 | 審査の難易度 | 金利 |
---|---|---|
銀行 | 難 | 低 |
ノンバンク | 易 | 高 |
つまりノンバンクは審査は銀行よりも甘いけれども金利が高いために利息を考えると不利な借り入れをしなければならないというわけです。
したがって利用者としては信用の面で高い人は銀行を利用し、銀行の審査に通らないような場合にノンバンクのほうを利用する傾向が有ります。
ノンバンクと言うのは消費者金融が代表例ですが、もっと大きな枠組みで様々な金融機関を含んでいます。解釈の違いはありますが、一般的には次のような金融機関がノンバンクということになります。
- 消費者金融
- クレジットカード会社
- 事業者金融
- 信販会社
- リース会社
- 住宅金融専門会社
消費者に関係するところだけではなく事業者に対する融資を行っているような金融機関も含めて預金を扱わない金融機関全般ということが分ります。
消費者金融もいろいろ!中小規模の業者はたくさん存在する
ではノンバンクのうち個人の利用者に一番関心が有る消費者金融ですが、そして消費者金融と言えば大手消費者金融だけだと思われがちです。しかし街中にある中小の金融業者である街金も消費者金融の一つなのです。(参考ページはこちら→細かく分けると金融業者の数は膨大)
ただし消費者金融は、銀行のカードローンへの参入や、貸金業法の規制強化に伴って商売がやりにくくなってしまい、現在どこの消費者金融も経営が厳しくなってきていて、利用者の獲得競争を繰り広げています。(参考ページはこちら→銀行借り入れは今もシビア?)
このため、以前のような経営をしていたらたちまち破綻してしまうので、街金のような中小消費者金融は銀行や大手消費者金融に対抗する必要が有り、それらの金融商品にはないような特徴を出すことによって生き残ろうとしています。
大手消費者金融と街金はどう違うのか
ノンバンクのうち、消費者が融資を利用する場合、最も利用する可能性が高い消費者金融について検討してみましょう。
最近は銀行がカードローンに参入していますから、消費者向けに小口の融資を行っている消費者金融との利用者獲得競争が激化しており、テレビを見ていれば、必ず銀行や大手消費者金融のコマーシャルを目にします。
このため消費者金融は、こういった大手消費者金融ばかりだと思われがちですが、実際には貸金業も大手消費者金融から、1人でお店を開いているような零細な業者まで多数の業者が有ります。
このような中小零細な消費者金融のことを街金と呼ぶことも有ります。もちろん街金はカードを発行してATMから融資を引き出すような仕掛けは用意できませんから、融資の方法としては店舗の窓口や銀行振込で行っています。(参考ページはこちら→街金の呼び方と性質の違い)
消費者金融は経営が厳しくなっている
こういった街金は街中を見ればすぐに見つけることができるほど多数存在しますが、現在経営は非常に厳しくなっています。
理由はまず銀行がカードローンを始めたことによって、利用者の多くが銀行を利用することになったことが挙げられます。利用者から考えればやはり銀行のほうが安心感が有るということでしょう。
もう一つは近年行われた貸金業法の改正でグレーゾーン金利の撤廃や総量規制の規定が入ったことによって、消費者金融は商売がやりにくくなってしまい、利益も上がらなくなったことが挙げられます。
このためこの法改正が行われた直後から、大手も含めて既に半数の消費者金融が消えてしまいました。このように現在は消費者金融にとっては非常に商売が厳しい時代にあるのです。
街金の生き残り戦略
この法改正後経営の傾いた消費者金融はどうなったのでしょうか。まず法改正の前から銀行とお付き合いが有った大手消費者金融は、銀行が資本を注入し経営を立て直すことができました。
ただし、これによって大手消費者金融は一部を除いて軒並み銀行のグループ企業になり、様々な変遷をたどることになります。
これに対して街金は銀行が直接資本注入するほどのお付き合いが無いため、独自に再建をしなければならなくなりました。
しかしこの頃になると銀行、大手消費者金融、街金の間には序列のようなものができて、銀行の審査通過が難しい人は大手消費者金融に行き、大手消費者金融の審査通過が難しい場合には街金に行くという形なっていました。
このため街金に申込んでくる人と言うのは以前ほど大勢というわけではなく、これ等を多くの街金で分け合うということになります。
そこで街金は利用者の目を引くような特徴を出して、利用者を集めるという戦略を取ります。
例えばブラックでも融資するというブラック対応とか、通常であれば借り難い学生向けにローンを設計して学生ローンを提供して利用者を増やしているといった大手では手を出しにくい特徴を出しているところが有ります。
ブラックと言うのは以前金融事故を起こして、どの金融機関に行っても融資を断られる状態を言います。
金融取引の状況というのは信用情報と言うデータベースに蓄積されてローンの申込時などに審査のために参照されることになります。問題なく取引を続けていれば信用の評価は高まりますが、問題が有れば評価は下がります。
特にローンの返済や電気料金や電話料金などの支払いで滞納が有ったり、債務整理を行ったりしていると、評価は著しく下がってブラックという状態になります。
元々ブラックというのはこの信用情報中に有ると言われたブラックリストを指す言葉で問題が有るとこのブラックリストに名前が載ると言われていました。
しかし実際にはブラックリストのようなものは無く、あくまで各人毎の情報の中に問題情報が有るというだけの話です。
現在では銀行が消費者向けにカードローンを提供するようになっている為、消費者金融は利用者が減り、経営にも影響が出るようになって熾烈な利用者獲得競争が行われています。
大手は銀行と提携することによって業績は改善していますが、街金と呼ばれる小規模業者はそれぞれ特徴のある金融商品を提供することによって利用者を獲得しようとしています。
街金の利用には注意が必要!非正規業者が紛れ込んでいる
こういった非正規業者もまっとうに営業している街金と同じような規模で外見上同じように営業している場合が有るため、利用者の目ではそう簡単に見分けることができないという大きな問題が有るのです。
そこで街金の利用を考える場合には、その業者が法令を遵守する正規業者なのかどうかを、申し込みの前に見極めて危険を避ける必要が有ります。非正規業者の罠に掛らないようにしっかり確認して下さい。
金融業者には正規の業者の他に非正規業者が有る
ここまで説明してきたように、法的な縛りの中消費者金融も様々な生き残りを戦略を立てて、頑張っているところが有る一方で、貸金業法には従っていられないと考えるところも有ります。
例えば金利が低く抑えられる中、それでは利益が上がらないからと言って、もっと高い金利を付けて融資をしていたり、強圧的な取り立てが禁止される中、暴力的に取り立てたりする業者も存在しています。
これ等の業者は法令に従って商売をしている正規業者に対して、非正規業者と呼び、一般的には闇金として認識されています。
しかも最近では法律が厳しくなっていることから、それをかいくぐるために、手口も巧妙化しており、法律とのいたちごっこのようになっている面も有ります。
ただしこういった非正規業者も正規業者の審査通過が難しい人の受け皿という面は否定できず、これ等の業者が有ることで助かっているという人もいるので、話はややこしくなっているのです。
収入が少なかったり、信用が低いということで、もう非正規業者しか相手にしてくれないという場合、どうしようもなくて非正規業者を利用してしまう人がいます。
しかし、それによってさらに状況を悪化させることになるので、非正規業者と言う選択肢を選ぶのは止めなければなりません。
しかしそれでは生活もできないという場合も考えられますが、そういう場合には公的な貸付制度を利用するという方法が有ります。当然申込むためには条件が有りますが、民間の金融機関よりも借り易いと考えられます。
例えば生活福祉資金貸付制度の場合、様々な状況に対応した貸付が行われていますから、一度調べてみる価値はあります。もちろん貸付制度ですから、後々返済が必要になりますが、条件は非常に良いはずです。
非正規業者が街金に紛れ見分けがつかない
しかも、非正規業者も街中に店舗を持っており、小規模な街金と簡単には判別することができません。このため利用者は知らずに非正規業者を利用していると言ったことも有り得るわけです。
しかも最近はインターネットが普及していて、非正規業者もこれを利用する場合も有ります。インターネット上にはホームページを開設しておけば作り方次第で利用者を集めることができます。
ホームページは小規模業者でも大手業者と同じように立派なものを作ることも可能ですから、非正規業者にはもって来いの仕掛けということができるでしょう。
利用者のほうは、そういった中から正規業者を選んで利用しなければなりませんから、安易に利用するのではなくて、良く調べたうえで利用するようにすることが大切です。
街金を選ぶ場合の非正規業者の見分け方
そこで街金業者を選ぶ場合に利用したいのが登録情報です。貸金業者と言うのは登録しなければ事業ができません。そこで通常は事業をする際に登録番号などを示して行っています。
例えば街金のホームページには必ず登録番号が記載されています。そこでこの登録情報を利用して正規業者か非正規業者かを判断する方法が有ります。
この登録情報と言うのは金融庁のホームページから検索することができるようになっていますので、利用を考えている業者について次の情報を検索してみて下さい。
- 業者名
- 代表者名
- 登録番号
- 所在地
- 電話番号
非正規業者はこういった正規業者の情報を利用している場合も有るのですが、電話番号だけを入れ替えておいたりするのでこれらすべての情報が一致することが重要です。
またそもそもこういった情報を掲示していないような業者もありますが、そんな業者は利用してはいけません。十分注意して業者選びをしてください。
このような闇金は規模的に言って街金と類似している為、外見からはどの業者が闇金なのかは良く分らず、このため小規模業者の利用をためらう人もいて、街金には足かせになっています。
そこでこういった小規模業者を利用する際には、金融庁の貸金業データベースなどを検索して、利用しようとしている小規模業者が正規に登録された街金かどうかを確認することが必要になります。
消費者金融をどう選べばよいか?自分を基準に考えよう
こういった非正規業者を排除したとしても、銀行や大手消費者金融そして街金まで含めると、非常に多くの金融機関が有ります。この中からどの業者を選べば良いのか大変難しい問題です。
そこでまず必要なのが、自分の周囲にあり利用出来る可能性のある金融業者をピックアップし、ホームページや店舗などで、具体的にどういった金融商品を提供しているのか情報を集めることが必要です。
そして次に自分はそういった金融業者をどのように利用したいのかを具体的に考えます。お金をどのように借りたいのか、あるいは利用目的、返済方法はどのように行いたいのかなど自分の希望を挙げていきましょう。
最後に自分の利用方法を判断基準に使って、集めておいた情報から金融業者を評価して、評価の高いものを選ぶことによって自分の使いやすい業者を選ぶことができます。
自分の利用出来る金融業者を調べてみよう
説明してきたように金融業者には銀行や大手消費者金融の他に街金と呼ばれる小規模な業者がたくさんあるのです。そこで利用者が困るのが、そういった沢山の金融業者の中からどうやって利用する業者を選べば良いのかという点です。
そのために必要なのがこういった業者の情報を集めることです。街金まで選択肢に入れる場合には、まずどういった業者が有って、どういう金融商品を提供しているのかを知らなければなりません。(参考ページはこちら→地域密着融資の利点をおさらい)
そこで自分の周囲をよく見てみましょう。行動範囲にある業者を探して情報を集めて下さい。ホームページを調べても良いですし、実際に店舗でパンフレットを貰ってきても良いでしょう。
街金には入りずらいところも有るので、そう感じたらそもそも自分向きにはなりませんから、候補から外してしまって構いません。
自分はどういった利用方法をしたいのか整理する
次に必要なのは自分がどういった利用方法をしたいのかということをはっきりさせることです。
そのためには自分が利用するイメージを考えることが必要です。
何度も繰り返し使うのであればカードローンのほうが向いていますし、自分がブラックになっているのであれば、ブラックでも利用出来ることが利用のための条件になります。
そういったローンに対する自分の要求事項を箇条書きにして挙げていきましょう。
もしイメージにあやふやな部分が残っていると後になって上手な判断ができなくなりますから、そういう場合は時間をかけて自分の考えを纏めるようにすることが大切です。
自分の利用方法で金融業者を評価してみよう
自分の考えがまとまってローンに対する要求事項が決まったら、集めておいた情報を自分の要求事項で評価してみてください。もっとも自分の要求事項を満たしているものが自分向きのローンです。
結果として大手金融機関のカードローンと言うことになる場合も有りますし、大手金融機関を想定していても、実際には街金のローンのほうが評価が高かったということも有り得ます。
場合によっては上位何社かで、さらに自分の考えを入れて選ぶという方法も考えられます。
ここでノンバンクと消費者金融について纏めておきます。
- ノンバンクと言うのは預金が無く融資だけを行う金融機関を指す
- ノンバンクの一角を占める消費者金融には大手の他中小の街金と呼ばれる業者も有る
- 街金は非正規業者の闇金と区別が付けにくいので利用には注意が必要
- 消費者金融を選ぶ場合には自分を基準にすることが重要
お金を借りる際には銀行を利用する場合でもノンバンクを利用する場合でも、借り入れだけではなく返済のことまで考えて利用するようにしましょう。
この消費者金融にはよく目にするような大手消費者金融ばかりではなく、街中で営業している小規模な街金と呼ばれる業者も消費者金融に数えられます。
しかしこういった小規模業者には闇金と呼ばれる法律を無視して営業している非正規業者があり、規模から言って街金と闇金は簡単には区別がつきません。
街金の利用を考える場合には、この区別をつけて闇金を利用しないように注意することが必要です。
そして区別がついたところでいよいよ利用する金融業者をどう選べばよいのかという話になりますが、銀行の他、大手消費者金融、街金の中から選ぶためには自分が何を重視するのかということをはっきりさせることが必要です。
これをはっきりさせて、それを基準に自分の要求を満たす金融業者を選べば、自分にとって大変使い勝手の良い業者が選べるはずです。
もう一つの違いは適用になる法律の違いで、銀行の場合には銀行法が適用になるのに対して、ノンバンクのほうは貸金業法が適用になるという点です。
両者を特徴で比較すると、銀行の場合には審査が厳しく利用者は絞られますが、金利は低くなるのに対して、ノンバンクの場合には銀行よりも審査が甘く多くの人が利用出来ますが、金利は高い設定になってしまいます。