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苦しい時こそ助けてくれる消費者金融栄光は一体どんな会社なのか?

消費者金融の株式会社栄光は、いわゆる「街金」と呼ばれるものです。栄光では「ブラック」とされお金を貸してもらえない苦しい状況にあるキャッシング申込者にも対応してくれる、そんな口コミを目にすることがありました。(参考ページはこちら→融資によくある口コミ

栄光は神奈川県横浜市にのみ1箇所で営業していた小規模の街金でしたが、残念ながら破産してしまったのです。「苦しい時こそ助けてくれる」お客様第一の街金の栄光が、どんな会社で何故倒産に至ったのか、良い街金とは一体どういうものなのか見ていきましょう。

大会社並みの組織でけっこう長い間やっていた栄光

キャッシングといえば全国各地に店舗を構える大手のアイフルやアコムなどが有名です。

しかし、小規模ではあっても、他ではお金を借りられない切羽詰った人にも対応してくれて、けっこう長い間やっていたところもあったのです。

栄光はそんな街金のひとつでした。(参考ページはこちら→大小ともに金融業者はたくさんあります

そんな栄光も、ついには倒産してしまうというのが、キャッシングの業界のきびしい現実なのです。

栄光の創業は昭和56年4月で、神奈川県横浜市で社員3名によって個人開業されました。その頃は栄幸という名称を名乗っていました。その後、株式会社化、社名変更、本社ビル落成などを経て、一時は20名前後の社員で運営を行なうまでに成長しています。

資本金は4千万円と小規模ですが、融資残高が170億円を達成したこともあり、かなり多くのお金を融資している実績がありました。1箇所の営業ながら、大手では審査に落ちるような「ブラック」な人たちにも広く門戸を開けている結果だったのでしょう。

会社組織は、人数に見合わないほどの大会社のようになっていて、まず株主総会・社長・取締役会及び監査役会がありました。そして、取締役会の下に、常務取締役・統括本部・経営企画部の3部門があったのです。

3部門の下にそれぞれ細かい部門があり、全部で10部門で会社を運営していました。少ない人員でこれだけの部門を運営していたのですから、社員みんながやり手だったのでしょう。

そんな大会社的なところは、新人研修や随時行なわれる講習会・セミナーなどにも見られ、ベテラン社員を含めて常に社会での活躍を目指した教育を心がけていました。研修会の様子を写真で見ると、真摯に仕事のスキルアップに励んでいたのがわかります。

栄光で初めてのキャッシングの申込みをするには、ネットと郵送の二つの方法がありました。1箇所の営業だけということもあり、大手のように店頭窓口や自動の契約機での申込み方法はありません。

ネットでのキャッシング申込みについては、ネットのメンテナンスが行なわれることがあり、いつでも行なえないところがありました。
(⇒融資申し込み方法はたくさんある

本人確認の電話は自宅か会社の本人指定のところにかかってきましたが、その人のプライバシーに配慮して、栄光という会社名ではなく、担当者個人名でかかってきました。(参考ページはこちら→在籍確認の基本

「栄光」の良い点・悪い点

栄光を利用した人はいろいろな感想を持っています。街金としての良い点・悪い点をここから読み取ってみてください。ひとそれぞれではありますが、あなたはどう思われるでしょうか。

栄光を良いと感じている人の感想には次のようなものがあります。

  • すごく良い対応。
  • 一時間で融資された。
  • 一週間で融資された。
  • 他でも借りていたのに融資してもらえた。
  • 破産経験の自分にも融資してもらえた。
  • 増額が50万円までできた。
  • 完済証明書がわかりやすい。

逆に栄光に悪い印象を持っている人の感想は次のようなものです。

  • 店頭窓口が無い。
  • 忘れた頃に申込み書類が送られてきた。
  • いきなり会社に在籍確認の電話がくる。
  • 融資できない連絡の電話をくれない。
ひとそれぞれの状況があるため、利用者の感想などはさまざまな意味を持ち、悪い印象も少ない人員で運営していることを考えれば、それほど悪いことではないのかもしれません。どちらかといえば、すごく率直で効率よくやっている姿がうかがえて、好印象に見えます。

「栄光」の破産手続開始が決定された!!

街金としては、どちらかと言うと良いイメージを持たれていた栄光ですが、今ではもう消費者金融ではありません。日本貸金業協会のサイトで協会員検索を行っても、「栄光」という会員は登録されていないのです。

栄光のホームページのトップには、破産手続開始決定についてのお知らせが掲載され、その進行状況などについては、カスタマーセンターに連絡するようにと告知されているのです。

栄光が破産したのは、東京地方裁判所で破産手続開始決定がされた、平成28年8月15日の午後4時です。その時から、東京丸の内法律事務所の髙木裕康弁護士が破産管財人となって、同社の破産管財人執務室カスタマーセンターで、平日の11時から16時の間に様々な対応を行なっています。

栄光のホームページでは、破産手続開始決定と破産管財人などの他、以下のようなQ&Aを公開しています。但し、ここには簡略化して記載していますので、詳しくは同社のホームページをご確認願います。

申立代理人? 若林眞弁護士
今後のスケジュール? 財産状況報告集会
破産手続開始通知書発送時期? 完了2~3か月後
破産債権届出? 速やかに個別連絡
債権者集会までの情報? ホームページ
破産管財人の立場と役割? 中立公平な立場
・債権者への配当
破産申立の経緯? 多額の過払い金による大幅な債務超過
破産会社の資産総額など? 資産総額約36億円
・負債総額約34億円
・債権者数調査中
過払い金の返還? 債権届出の調査結果
破産前に和解・勝訴判決の過払い金? 原資があれば配当
多額な過払い金の高配当? 個別事情の優先的な取扱いは無し
取引履歴の送付? 個別開示は無し
過払金返還訴訟提起中? 訴訟中断
破産手続関連郵便の送付? 一切の連絡不要の旨の届出必要

「栄光」破産の原因は過払い金の対応にあった!!

大手消費者金融並みに運営されていた栄光にも、平成15年の通称「ヤミ金融対策法」と、平成18年の貸金業の適正化・グレーゾーン金利の廃止など大幅な貸金業法の改正によって、しだいにかげりが見え始めました。加えて多重債務者のことが社会問題化し、徐々に栄光の業績も下降して行ったのです。

お客様第一で、どちらかと言うと良い印象のある街金の栄光が破産した原因は、「過払金返還請求」への対応にありました。

報道では、平成26年頃から栄光での新規の貸付は停止されていましたが、低迷した状況を改善できる見通しも立っていませんでした。結局、金融負債は34億円、およそ3万6千8百人からの過払金返還訴訟の債務が175億円ほどになり、ついには破産に至ったとされているのです。

正式に登録されていない「闇金」でなく、”優良”な部類に入っていたはずの街金「栄光」でも、貸金業法の改正は大きな痛手でした。それまでは許されていたグレーゾーン金利であげていた会社の利益は、改正によって「過払い金」と名を変えて、栄光を窮地に落とすこととなったのです。

それでも、栄光としては破産手続開始の決定を受けて、破産管財人を立て債権者対応に真摯に取り組んでいる状況なのです。

消費者金融における過払い金対応

栄光を倒産させてしまった「過払い金」とは、一体どんなもので、その請求先となっている消費者金融などの貸金業者は、どのような対応をしているのでしょうか。それにはまず、「過払い金」が生まれた歴史について見ていく必要があります。

「過払い金」は、キャッシングなどの融資において払い過ぎてしまった利息分のお金のことです。法に定められた利率を越えたキャッシングをして、法に従えば完済しているにも関わらず、法外の利息に当たる分を返し続けることから、「過払い金」は発生します。

過去には、キャッシングなどの利息は、「利息制限法」というもので規制されている他に、「出資法」というもので制限されるもっと高い利率を越えない限り、刑事罰を受けないという状況にありました。この2つの法で制限される利率の範囲「グレーゾーン金利」が、「過払い金」を生み出しました。

利息制限法の規制は以下の通りです。この基準を超えて課された利息は、法的に無効となるのです。

元本 利息
10万円未満 年20%
10万円以上百万円未満 年18%
百万円以上 年15%

これに対して、多くの消費者金融では、出資法5条2項の年29.2%という利率を越えないように貸付を行い、刑事罰を免れていたのです。そして利息制限法1条2項には、任意に利息を支払った場合には返還請求できないという要件があったため、「過払い金」を請求することはできなかったのです。

この状況は、平成18年の貸金業法の改正(貸金業の適正化・グレーゾーン金利の廃止など)によって、大きく様変わりしました。出資法と利息制限法の上限金利が同じくなることが決まり、平成22年になって実際に出資法の上限金利は引き下げられたのです。

それまで年29.2%近い高金利で返済していた人の金利は、利息上限法の基準に従った利率まで引き下げられ、元金に当てられるようになりました。そのため、返済期間によっては、返済した金額が元金と見直された利息の合計よりも多くなる事例が多々見られることとなったのです。

返済し過ぎたお金は、返済者に返さなければならず、これが「過払い金」と言われるようになりました。

破産した街金から過払い金を取り戻すことはできるのか?

法改正によって「過払い金」が返ってくることになったとはいえ、返してくれる街金が倒産してしまっては、ちゃんとお金は戻って来るのか心配なところです。

過去の例では、往時貸付残高全国2位という大手消費者金融の武富士が会社更生法の適用申請した時には、過払い金の配当率がわずか3.3%まで大幅に減らされたということがあります。

それでもその返還額(配当率)は高い方なのです。一般的に倒産の形態によって、配当率の高低があり、武富士の「会社更生」は配当率が高い部類に入ります。

一方、栄光の倒産の形態は「破産手続き」で、どちらかと言うと配当率は低いと言われています。以下に、倒産の形態と会社・該当法・配当率について一覧にしてみました。

倒産の形態 会社 該当法 配当率
破産手続き 消滅 破産法 低い
民事再生 再建 民事再生法 高め
会社更生 再建
※経営陣は退陣
会社更生法 高め

平たく言うと、「破産手続き」は会社を清算してその財産を債権者に配当するもので、「民事再生」と「会社更生」は債務を減額することによって会社を立て直すものです。会社再建の基本は同じ「民事再生」と「会社更生」ですが、経営陣と債権者の担保権について違いがあります。

いずれにしても街金が倒産してしまうと、会社の債務は全て清算と圧縮の対象となりますので、その会社から返還されるべき「過払い金」の金額が減ってしまうのは確実です。栄光のように破産手続きが開始されると、会社の財産は破産管財人によって管理され、債権者全員に平等に配当されるため、金額は減るのです。

破産手続きに比べると少しはましですが、民事再生・会社更生についても返還額が減るのは確実です。また、過払い金返還には倒産の有無とは関係なく、10年という時効がありますので、返還請求はできるだけ早く取り掛かった方が良いのです。

街金が倒産しても借金が無くなってしまう訳ではありません!

街金が倒産すると、その形態がどうであれ、お金を借りて返済していた人の「過払い金」は確実に減ってしまいます。それでは、逆に借金がまだ残っていた場合、街金の倒産と共にチャラになってしまうかというと、実はそうはいかないのです。

街金と個人の間でのキャッシング契約では、倒産した方の街金の債権は消滅することは無く、お金を借りている側の債務はそのまま残るということを忘れてはいけません。

街金側では、個人に貸し付けたお金を回収する権利(債権)を、他の会社へと移譲します。対して個人の方では、お金を返す義務(債務)は、保証人でもつけていない限り移譲されることは無く、融資を受けた個人そのものにずっと残るのです。

通常街金などの消費者金融のキャッシングに、保証人は不要となっています。つまり、街金が倒産しても、自己破産でもしない限り、ほぼ確実に債務=借金は契約通りに完済する必要があるということになります。

「栄光」と同じ住所にある債権回収会社とは?

栄光の債権はというと、「栄光債権回収㈱」に移譲されています。この会社は平成12年1月に設立され、3月に「債権管理回収業の営業許可」を取って業務を開始しています。

平成15年5月に街金・栄光と同じ住所に移転した「栄光債権回収㈱」は、栄光が新規貸し付けを停止した平成26年になって、「特定金銭債権」の売買業務とその売買の仲介業務について兼業の承認をされ、業務を拡大しているのです。

取扱っている債権は、貸付債権・リースクレジット債権・金銭債権(8号他)・金銭債権(16号他)・その他の債権の5種類です。なお、平成23年3月11日の東日本大震災に関して、被災地域内所在の債務者を対象に債権放棄の案内を出すなどの対応もしています。

債権回収会社になるためには、次のような条件が必須となります。

  • 資本金5億円以上
  • 弁護士の取締役1名以上
  • 暴力団等反社会的組織と関わりが無い

「取り立て屋」のイメージが強く、暴力団などが関わってくることを警戒し、3つめの条件は特に重要です。栄光債権回収㈱では、この条件に関して反社会的勢力にたいする5つの基本方針を掲げて、その被害を防止しようとしているのです。

  • 関係の不保持
  • 被害防止のための適正対応
  • 不当要求への法的対応
  • 資金提供・裏取引の禁止
  • 不当要求対応役職員の安全確保
平成28年9月21日現在、法務大臣から債権回収会社の許可を受けているところは86社あり、栄光債権回収㈱の許可番号は「30」です。近年は債権回収会社を装って架空請求をしてくる悪質な団体もあるため、請求が来た時には法務省のホームページで確認する必要があります。

債権はお金を借りている人(債務者)の意思に関係なく譲渡することができますので、融資を受けている街金が倒産してしまった時は、自分の債務の債権を持っている会社がどこなのかを充分に知っておかなければならないのです。

栄光は良い街金だったのか?良い街金の条件とは?

栄光についてこれまでいろいろ調べてみましたが、好印象な口コミにあるような良い街金だったのでしょうか。利用した(あるいは利用しようとした)人それぞれに、収入・債務・支出などの状況が違うでしょうから一概には決められません。

それでも、大手の見放したような「ブラック」の人にも対応していたようであり、少人数ながらよくやっていた方でしょう。本社一箇所でのネット・郵送のみの対応であったため不便さは否めませんが、電話対応などもはっきりしていて効率的なところは、企業としては優秀なところでした。

結論としては、小規模営業を考慮すれば、おおむね良い街金だったと言えるでしょう。

しかし、グレーゾーン金利を採用していたことから、法改正によって「過払い金」を発生させることとなり、その請求によって倒産に至った点は、良い街金とは言えないのかもしれません。以上のような栄光の状況から、一般的な良い街金のポイントは次の3つであると考えられます。

  • 接客の良し悪し
  • 法定利息の遵守状況
  • 貸金業者としての登記・登録

以上3つのポイントが良好であれば、そこは“良い街金”であることは、ほぼ間違いないことでしょう。

栄光は接客の面ではおおよそ良い印象の街金でした。この点では“良い街金”の第一のポイントは抑えています。

しかし、改正前の法においては問題がなかったとは言え、グレーゾーン金利を採用していたことによって、結果的に法定利息を遵守できない状況となり、貸金業者としての登記・登録を抹消することになったのです。これによって、“良い街金“の第二・第三のポイントをクリアすることができなくなってしまいました。

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